「A」
地下鉄サリン事件で教団幹部が捕まってからのオウム真理教の信者(特に荒木広報担当)に密着したドキュメンタリー映画。
いろいろと当時TVなどでニュースや特番があったが、自分にとっては「A」がとてもリアルに見えた。つまりちっとも面白くないのだ。
当時はオウムは凶悪でこんな組織を持ち、教義はどうこうで…と煽る内容が多かった。というのはあまりにフィクションに忠実な出来だったからだ。
もちろんこっちのほうが面白い。
コ、ココ、コスモクリーナー!出たーっ!ってなもんである。秘密組織に怪しげなガスを撒かれたとか変なことを言う。こういう現実の再解釈なんてのはモロにSF*1の手法だ。
強行突入時のカナリアなんてのももう演出以外なにもんでもない。
フィクションの楽しみ方。
「A」はそういう煽りはほとんどない。淡々とある種ほのぼのとカメラが回り続けている。つまらなさが面白い。
マスコミと荒木広報のやり取りはどう見ても新聞の勧誘とそれを断るアパート住人のような感じがするし、公安か警察かはわからないけど芝居のような公務執行妨害逮捕への持っていきかた。オウムの建物はどこも汚いし雑然としている。
なんかどれもだらしない。だらしないから悪いと言うわけじゃない。
まあ人間こんなもんなんだろうと思う。どの立場もわかる気がするのだ。
今回たまたまオウムの密着だったが公安にカメラを入れたところで、マスコミにカメラを入れたところでそう違いはない感じがする。公安にはカメラは入りそうにないけど。
今回もわけのわからないことをだらだら書いてしまった。反省。
映画が何を言いたいのかは本人や頭の良い人がたくさん語っているのでそっちに任せる。本作の続編『A2』のも混じっているので注意。
Mammo.tv >> 今週のインタビュー(2001.07.02号 Part2)森 達也 さん
村上春樹「映画『A2』をめぐって」
あとは宮台真司の『援交から天皇へ―COMMENTARIES:1995‐2002 (朝日文庫)』など
「A」
監督:森達也
公開:1998年
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*1:こんなのオカルトだという突っ込みは今は置いとけと