THX-1138
この前見たI.K.U.*1のトンネルシーンのせいでどうしても見たくなってしまった。トンネルとこの作品は俺の中でもう一体化しているみたい。大好きな作品。
多分ネタバレします。
若きルーカスの暗黒面
この作品はジョージ・ルーカスの商業デビュー作で1970年に公開されている。1967年ごろにルーカスの学生時代に作った映画のリメイクでもある。
3年後に公開されるアメリカの50年代を描いた「アメリカン・グラフティ」の甘酸っぱい爽快感や「スターウォーズ」の連続活劇とはまるで無縁。だがそれがいい。
時代なのだろうか?当時は学生運動が世界的に盛んな時期である。ベトナム戦争もあった。
でもそんな背景を無視してもルーカスにはその後の作品とは違う一面があることを示しているように思える。
彼が「地獄の黙示録」を作っていたらどういうふうになっていただろうとつい考えてしまう。
ストーリーと世界観
ひとことでいうと超管理社会からの脱出。ディストピアもの。
25世紀、人は完全に管理された地下都市に暮らしている。名前は番号となり生活は24時間監視され感情も投薬によって抑制されている社会。
放射性物質を扱う作業員THX1138は心身の不調を自覚するようになる。彼を愛していたルームメイトの女性LUH3417が薬をすり替えていたのだった。愛する感情を取り戻した二人は禁止されている肉体関係を持ってしまう。
そんな折、地位を利用して強引にTHXとルームメイトになろうとするSEN5241によってLHUと引き離されてしまう。THXはSENを当局に通報するが作業に失敗しLHUとの肉体関係もばれてしまい投獄されてしまう…。
THX1138(ロバート・デュバル) | |
LUH3417(マギー・マコーミー):困った顔になぜか惹かれてしまう。SEXが禁止された社会で、初めて体を重ねるシーンは戸惑いながらも触れ合いたいという思いが伝わってきてとてもかわいらしい。 | |
SEN5241(ドナルド・プレザンス) |
オリジナル版との違い
今回見たのはディレクターズカットのほうだけどオリジナル版と比較すると、主に序盤から中盤にかけてシーンが追加・削除されているようだ。おかげでずいぶんと見やすくなっている。オリジナルのほうはとてつもない閉塞感と単調さが特徴だったがずいぶん緩和されているように思う。
たぶんここらへん↓が追加されている。
そんなこんなで
自分にとってはとてもお気に入りでトラウマ的な作品。
ストーリー展開を中心に見る人だと特にそう感じるだろうが確かに序盤中盤の退屈さはある。
でも印象的なシーンが数多くあるんだよね。
ビッグブラザー登場!扉を閉めて腰をかけるとチカチカ点灯して懺悔の始まり。 | |
全体がモノトーンの画面のなか、コンピュータのモニタの警告や表示だけが原色。 |
カーチェイスもかっこいい。 | |
小道具もいい。 |
このエントリに使っていない画像もアップしてます。見たいときはこちらへどうぞ。
地下駐車場としか思えないロケ地とか低予算なことは確かなんだろうけど、こだわり方がすごくてそんなこと気にならなくなる。*2
コンピュータの音声とかも効果的。"What's wrong?" "Never mind!"などなど。ここら辺は公式サイトで楽しめる。
まあ挙げるときりがない。それほど好き。
ルーカスよ、もう一度暗黒面を見せてくれ。
THX 1138
公式サイト:THX 1138
公開:1970年(オリジナル版)
- 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
- 発売日: 2005/09/02
- メディア: DVD
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*1:http://d.hatena.ne.jp/tuspico/20060526/p1
*2:「一個人の追跡に許される予算は限度に達した。直ちに中止せよ」というオペレーターのせりふは、「一作品の製作に許される予算は〜」って皮肉か!と思わず突っ込みたくなる