ニュートンズ・ウェイク

最近よく耳にする英国ニュースペースオペラ。取っ掛かりにケン・マクラウドの一冊を選んでみた。
ただどこが新しいのかはよくわからない。まあいいけど。
ストーリーは裏表紙のを引用するとこんな感じ。

21世紀後半、急速に進化したAIはついに〈特異点(シンギュラリティ)〉を突破、超知性体“後人類”へと変貌をとげて、人類に反旗をひるがえし、“強制昇天”と呼ばれる大戦争を巻き起こした。 それから300年、生き残った人類は、後人類たちが残した超科学の産物をサルベージしながら、文明を再建しはじめていた。 そしていま、ルシンダ・カーライルが率いる実戦考古学調査隊は、ワームホール・ゲートを通じて惑星エウリュディケに到達したが……。

基本的にガジェット盛りだくさんの作品は好き。言葉だけを見ててもおもしろいし。
AIが人類を凌駕して超知性体になることを「〈特異点(シンギュラリティ)〉を突破」するという表現になっていたり、そうした知性体を“後人類”*1と呼んでみたり。ただ昔デューンシリーズを読んだときのようなかっこよさは感じなかった。
超科学的なガジェットについてはほとんどオーパーツ扱い。詳しいことはスペースオペラだしあんまり科学的なことを追求しても野暮かな。
しかし、たった400年かそこらで歴史が忘れ去られたり、ひどい誤解があるものかな。いやそこが笑いどころってのはわかるし、ちょっと面白いんだけどね。
たとえばAO(アメリカ・オフライン)なんてのは都市生活者は全員強制昇天されてイナカもんが助かって、文字通りの開拓者精神だけが残されちゃったのかななんて考えると面白いし。


登場人物もガジェットが多様であるのと同様に多彩な顔ぶれで、出てこないのはロボットぐらいか*2
あ、翻訳のせいかどうかはわかんないが主人公(とその一族)には「〜なんさ」なんていう方言があるんだけど、気になりすぎ。あれは群馬弁か?グラスゴー(主人公の一族の出身地)はイギリスの群馬なのか?
それはいいとしても主人公はバタバタ走り回ったわりに報われてない感じ。イギリス風の割り切り方なのだろうか?


全体的につまらなくはなかったけど、解説者が言うほど面白くはなかった気がする。ニュースペースオペラを楽しむ取っ掛かりとしては素直にレナルズの「啓示空間 (ハヤカワ文庫SF)」あたりにしとくべきだったかな。
ただ最初にも言ったけど基本的にこういうのは好きなんでニュースペースオペラのほかのも読んでみたいし、年表や用語集なんか作って遊んでみたいなと思った。

ニュートンズ・ウェイク (ハヤカワ文庫SF)

ニュートンズ・ウェイク (ハヤカワ文庫SF)

*1:なんで人類と呼ぶ必要があるのかわかんないけど

*2:たぶん特異点を突破してどっか行っちゃったんだろうね